ヒット カウンタ

10人組み手を完遂して。

Tanakaさんは、50歳から空手を始め、今回53歳で10人組手のチャンスを一回でクリアしました。
身長171Cm、体重66kgとけっして大きな体ではありませんが地道に稽古を重ねて今回ついに黒帯を締めることとなりました。
都心に住み、コンピュータの前で仕事をするといった典型的な現代人のTanakaさんが、なぜ空手を始めたのか、そして今回このような大仕事をやってのけたのか、この文章を読んで、これから始めてみようか迷っている中高年の方はぜひ最初の一歩を踏み込んでみてはいかがでしょうか。

空手は屈強な大男のためだけの武道ではありません。
小柄な人、力の弱い人、引っ込み思案の人、中高年で運動不足の人、こういう人が稽古を通じて強くなることにこそ武道の意義があるのです。
空手に年齢は関係ありません。
やろうと思った時がその時なのです。
Tanakaさんは見事にこれをやってくれました。
次のステップを目指してこれからもがんばって下さい。

平成17年2月21日
TanakaS 初段
グラフィックデザイン会社経営
東京都 在住

始めたきっかけ

 空手を始めたのが50歳の半ば、小学生の息子が始めたのがきっかけです。
仕事はグラフィックデザイン。毎日、コンピュータの画面に向き合ったままで、ひどい運動不足でした。
健康診断で医者からイエローカード。
このままでは成人病間違いなしといわれ、健康への不安がスポーツなし歴35年の私を大胆にさせたのかもしれません。
どうせ身体を動かすのなら、息子と一緒に稽古できる空手にしました。
空手ライフのスタートは伝統系でしたので、基本稽古と、型稽古のみ、空手の導入期にはちょうど良かったです。
半年後、組み手をやってみましょうということになりやってみたら、まるで子供の喧嘩のような猫パンチのスタイル。
しかも半年先に始めた30代の主婦と対戦して、メンホーにバシバシ当てられ、負けてしまいました。
ショックで落ち込みました。
この悔しさをなんとかリベンジしなくては!

 空手を始めた頃、クラさんのホームページを愛読。いつも稽古のヒントをいただいてました。
クラさんから現空研へとつながり、おりしも世田谷に道場開設との情報が……ラッキーでした。

 打倒30代主婦へのリベンジ精神で現空研に入会し稽古を始めて2年弱。
とうとう、そんな私が10人組手のステージまでたどり着きました。
(リベンジの結果は、現空研で組み手の稽古を続ければ、そんな低次元のことはすっかり忘れてしまいました。現空研で習った乱撃などを教えたり、現在も仲良く稽古しています)

10人組み手の準備。

50歳で始めた空手なので、心、技、体、全てに弱い。
特に「体」がヤバイです。10人保たないかも。
それで、正月休みは田舎(群馬県館林市)に帰り、友達とも会わずに毎日ジョギング。
50代の人間は、なれないジョギングをすると膝を痛めるので極力、公園の芝生の上を走りました。
アスファルトの上はいけません。
あれは車のもの、人間用ではありません。
田舎には税金をふんだんに使った人気のない芝生のある公園がやたら多いのでちょうどよいのです。
都民としては、ばらまかれた地方交付税を少しでも取り戻さなくてはイカンのです。
 次に防御のための両腕を鍛えました。

私の両腕防御トレーニング法。

スポーツジムのベルトコンベア型ジョギングマシーン(ハムスターみたいでそれほど好きでない。)で6.6kmのスピードで2分、イメージ乱撃をする、しかも両腕を決して下げない。
2分やって15秒休んでまた2分。
これを10セットまじめにやりました。
ただ、この練習の欠点は閉店間近の人の少ない時にやらないと、隣に迷惑なんです。
両腕をあげたままでひたすら早歩きしている人が隣にいたら気持ち悪いですよね。

仕上げのコンディション作りは「食事」と「休養」。

1週間前から、炭水化物をたくさん摂取。
昼のランチは焼き肉屋でビビンバのライス大盛りが効果大でした。
グリコーゲンをたくさん蓄えないとエネルギーが続かない。
実際、10人組手で極度の疲労は感じなかったです。
また、直前までトレーニングしても疲れるだけ。
身体にたまった疲労をゼロにして臨みました。
鍛えるより栄養と休養です。

「技」はシンプルに。

本当は、いくつになってもカッコイイのが好きなんです。
SibaさんやNito兄のように鞭のようなしなるハイキックが自分にできないものかと思っているのですが、それは
見果てぬ夢。
できないことはしようがないです。
カッコイイ技は若い人に任せて、自分が今できる技、「正拳突き」と「前蹴り」その2つの技だけで対戦することにしました。(実は右脚が坐骨神経痛で、回し蹴りの動作ができないのです。前蹴りの動作は痛みがでないが、足を高くあげ、ひねる動作がダメ、痛くてできない。)
それでも、攻撃がシンプルな分、防御に専念できる利点がある。
ダメージを受けないために居着かぬように防御。
そして、自分の間合いに入ったら迷わず上段突き。(この戦いは、見た目に消極的で面白みにかけるが、負けない組み手が戦略なので仕方ありません。)
10人まで持ちこたえたら、最後は全エネルギーを使って連打しようと決めてました。

ロボコップ師範、私の必死の連打をひたすら優しく受けてくれて感謝感謝です。
残り1分から連打開始と決めていたのですが、たった20秒でエネルギーが切れてしまいました。
少し休んで、残り10秒、最後のラッシュ!最高のエンディングでした。

「心」

五木寛之の「他力」です。
ものごとの結果を決めるのは最後に「天命」。
10人達成できなければ、それは天が決めたこと、10人はまだ早いというだけのこと。
結果など「ヘブン ノウズ」神のみぞ知るです。
とはいえ、覚悟を決めたのに、前日の夜中に何度も目が覚めたのはなんでだろう?

素晴らしい経験の場を提供して下さった園田先生、ありがとうございます。
10人組手の際、暖かい声援をかけてくれた皆さんに深く深く感謝しています。
応援が最大の力になりました。


TanakaSigeo

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