ヒット カウンタ

オーバートレーニング  大学空手部

更新 2009/05/30



はじめて質問させていただきます。
44歳、空手暦は某フルコン流派で3年ほどです。
稽古は週1〜2回通っています。
稽古に行かない日も、自宅でダンベル、バーベルを使ったウェイトトレーニングや、拳立て(トータル300回以上)、スクワット(トータル300回以上)、腹筋(100〜200回)、背筋(100回位)、2キロのダンベルを持っての突き、アンクルウェイトをつけての蹴り、シャドウなど行っています。
また、常設道場なので、道場での自主トレとして週1回はサンドバッグや型など稽古しています。サンドバッグもやみくもに打つのでなく、受け返しを意識して稽古しています。
結構自分でも努力していると思うのですが、道場稽古のスパーリングや、審査会、試合では思った動きができず、相手の突き、蹴りをもらい過ぎたり、1人で練習したコンビネーションが使えなかったりします。
年齢的なものもあるとは思いますが、やはり悔しいです。
1人稽古で(ひそかに)組手に強くなるような稽古があったら教えてください。
よろしくお願いします。
静岡県 ○○○○

質問を最初に拝見して感心するのは、44歳でこれだけのメニューを長期間こなす精神力です。
これは、若者でもなかなかこなせる量ではありません。

この努力には敬服いたしますが、正直言ってこのメニューを額面どおり実行されているとすると効果はあまり無いというかマイナス面がでてくるのではないかと思います。

週1〜2回の道場の稽古の他、毎日これだけのメニューを実行しているとすると筋肉に休息を与える時間がまったくないということになります。
年齢から考えてもこれではオーバートレーニングになってしまいます。

きちんと計画を立ててそれを確実にこなせるタイプの方のようですから、少し提案をさせていただきましょう。
まず、メニューを2つのタイプに分けます。

一つは空手の技をメインにしたもの。(技系と呼びましょう)
もう一つは筋力トレーニングをメインにしたもの。(力系と呼びましょう)

この二つはトレーニングの方法論が全くことなります。(真反対に近い)

技系は低負荷高回数
力系は高負荷低回数
が原則です。

技系は毎日行ってもかまいませんが、力系は十分な休息を必要とします。
道場の稽古と道場での自主トレは技系に属しますのでこのままで良いと思います。

問題は力系のトレーニングです。
全てのトレーニングにおいて回数が100から300になっていますね。

拳立てが300回毎日こなせるということは、これはもはや筋力トレーニングとしては負荷が軽すぎるレベルに達しているということです。
自宅に器具もおそろいのようですから、まず、安全性が確保できる範囲でできるだけ高い負荷をかけて低回数で行うように変更してみてください。

道場仲間と一緒にやれれば一人が補助者になれますのでベンチなんかでも限界に近い挑戦が可能になります。
筋肉の性質(回復しやすいか否か)にもよりますが、44歳位だと、限界まで追い込む筋トレだと週2回くらいでも十分な効果を得られると思います。
技系のトレーニングが週2〜3回、力系のトレーニングが週2回、残りは完全な休息日にしてはどうでしょうか。

筋力トレーニングはパワーの増大が目的ですが、それを直接的に計る目安は筋量です。
腕回りや胸囲を計りそれを記録していくのも良い励みになります。

あと、体脂肪率を計れる体重計がありますが、これを購入して毎日記録すると良いでしょう。
もしあなたが軽量であるなら体脂肪率を維持しながら(あるいは落としながら)、体重を増やす(純粋な筋肉の増加)ことを心がけると良いと思います。

筋肉量だけで体重が5キロ増えると組手の感触が全く違ったものになります。
10キロ増えると別世界といってもよいでしょう。(筋肉で増やした場合に限りますよ)

軽量のとき必要にせまられて覚えた技が生きてきます。
最初から体重のある人より、技の効かせ方は上手なはずですから、パワーが増した分そのまま威力が倍増するのです。

半年で目に見える効果が出てくると思います。


突然のメールお許し下さい。
初めまして。僕は最近大学で空手を始めた者です。
今までは特に本格的な運動はしたことなく、中学時代に部活でテニスをやっていたぐらいです。
体格も細くて、筋肉も殆どついていません。
昔から、キャシャな体がいやでしたが、でも運動はきらいで全然運動しませんでした。
しかし、大学に入ってから、自分のコンプレックスをなおしてみようと思い、体作りもかねて肉体的にも精神的にも強くなるためには空手が一番ふさわしいと思い、始めてみました。
でもさすが大学の体育会系です。厳しいです。
今は大学が休みなので練習が毎日あるのですが、筋トレが90分、空手が90分です。
そこで質問なのですが、僕はまだまだ他の部員にはついていけず、毎日全身筋肉痛になっているのですが、そんな毎日をすごしていても、筋力は向上するのでしょうか?
筋トレの内容は、ランニング30分、腕立て、腹筋、背筋、スクワットが30×5セットです。
全員で号令をかけてトレーニングを行っているので、僕のこなせている回数は150回よりもはるかに少ないです。
僕の体の状態は、寝床から起きあがるのも筋肉痛で痛く、足も痛くてあまり上がりません。
他、めまいを起こしかけることもあります。俗に言う、グロッキー状態だそうです。
論より証拠、結果は後からついてくる、というのは重々承知ですが、今までこれほどまでに厳しい練習をしたことがないので、正直全く見当がつきません。
よろしくお願いいたします。
因みに僕は○○大学(大阪の大学です)に通っています。
 

大学の体育会系の空手部の稽古は良い意味でも悪い意味でも伝統的な空手鍛錬方法の典型です。
最近は体育会もだいぶ様子が変わってきましたが、それでも大学によっては昔ながらの伝統を引きずっています。

生理学的な見地からの合理性というより、悪い意味での精神論的な訓練、ぞくにいうシゴキと言われる方法が幅を利かせているのです。
私は、こうした方法を決して推奨する立場ではありませんが、この年になると、こういったがむしゃらな稽古の思い出もあって良かったのかという気持ちもあります。

甲子園をめざして猛トレーニングを行っていた高校球児達もそのトレーニング方法が仮に全然理にかなったものでなかったとしても後から思い出せば良い思い出となっているかもしれません。
まあ、こうした話をしても、それは過去の思い出として話した場合はそうかもしれませんが、現実にその真っ只中にいてへたばっている者にとっては屁の足しにもなりませんよね。こんな話。

現実に戻って、このトレーニングの内容は、ここに書いてある通りだとすると大学に入るまでは運動らしい運動をしていなかった者にとっては正に地獄の特訓でしょう。
これで疲労が重なっても無理して継続していくと何らかの障害が発生します。

問題は毎日行っている点です。
気を失うような地獄の特訓もたまに行うのなら弊害は少ないのです。

それより、気を失うほどではないミニ地獄の特訓を休息日なしで毎日繰り返す方がはるかに有害です。
オリンピックを狙うような一流選手やプロのアスリートでも、オーバートレーニングにならないようにするコントロールは大変難しいのです。

あるトレーニングがオーバートレーニングであるか否かは、その日の疲労度や筋肉痛では測れません。
疲労や痛みが恒常的にとれず、長期間増し続けているといった状況かどうかが判断のポイントです。

そうであればオーバートレーニングの疑いが極めて高いです。
私が監督かコーチなら、もう少し緩急をつけますね。

メンタリティーから地獄の特訓の必要を感じたら、抜き打ち、不定期にしかし極限の地獄を味あわせ、部員には悟られないように架空の急用を作ったりして実質的な休息の機会を作ります。

精神的には極限の地獄を味あわせつつ、肉体的、生理的には理にかなった休養をとらせて回復の期間をとる。
愛情ある鬼監督はどんな分野でも流儀は人それぞれでしょうが何らかの形でこうした配慮をしているものです。

初心者の場合はこうした奥深い作戦が分からず表面的な批判や苦情を呈することも多々あることは知っておいて下さい。
あなたにとって今必要な情報は、現在の実質的指導者がどういった方針で現在のトレーニングを行っているかです。

たいした経験もない上級生が単なる先輩風を吹かせたいだけでシゴキをやっているのか、立派な指導者が一定の方針のもと行っている特訓なのか。
一度監督かコーチに相談してみたらどうですか。

もし、ここで最悪のケースつまり、馬鹿な上級生の暴走だというケースだったら。
しかも、現在のトレーニングが体力の限界を超えていたら。

あなたはのとるコースは3つのうちどれかです。

1.適当にごまかしながら当面の関門を潜り抜ける。
2.敢然と抗議し議論で戦いを挑む。
3.退部する。

これは、あなたのパーソナリティーや人生観によってベストな選択肢は変わるでしょう。
こういったシーンは大学の運動部だけでなく、人生のあらゆる局面で今後遭遇する状況だからです。
就職した勤め先や、結婚した後の家庭や、その他いろんなところで。

1.は多くの人が選択する現実的でずるい選択肢です。実社会では一番ポピュラーな方法です。
2.は、戦後一番流行った方法です。民主主義を題材にした小説や映画はこればっかりでした。
3.は、伝統的に最も嫌われる方法ですが、最近急に増えています。社会人なら退社や離婚といったケースがこれに相当します。

私なら、どうするか。

あなたの大学は名の知れた伝統校ですし、空手部も歴史があります。
立派な先生や先輩も多いと思いますので、現在の状況は一部の学生の浮かれた行動のような気がします。

したがって4年間これが続くとは考えにくい。
もう一つは、そうこうするうちにあなたの体力が上がってきて、もはや地獄の特訓では無くなってしまう。

そうしたことを考慮すると選択肢は
1.適当にごまかしながら当面の関門を潜り抜ける。
ということになります。

私も昔は合宿のとき、若い道場生に夜中の1時、2時に酒の肴を何が何でも調達しろとか絶対出来ない無理難問を吹っかけて喜んでいました。(今でもたまにはやるぞ)
道場生の方も心得たもので、その時は死ぬような困惑の顔を見せながら、(腹の中では舌を出し)、予めスーパーなんかで用意した安物のスルメかなんかを、「1時間かけて近くの猟師の家に頼み込んで何とか調達してきました。」とかいって差し出すのです。

お互い真顔ですが、実態は周知の事なのです。

運動部は伝統的にこうした儀式があり後輩は代代先輩のこうした儀式を下に伝えていくのです。
こうした儀式を一種のユーモアとして楽しめる性格の人と、心底毛嫌いするタイプの人がいます。

後者のタイプだと選択肢は3.の退部が適当だということになります。
とりあえず、1の選でがんばってみて、どうしてもだめなら3を選択するという方針でどうですか。

 

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