現空研の秘密兵器のトレーニング法を教えてください。

 2011/12/06


はじめまして、いつもHP楽しく拝見しております。

自分は35歳のサラリーマンで現在ヨーロッパのベルギーに住んでおります。
空手歴は6歳〜12歳(松涛館)、12〜18歳(糸東流)大学時代はフルコン空手の同好会に所属するも、
卒業後は10年以上空手から遠ざかっておりましたが、一念発起し二年程前からこちらで和道流空手を始めました。
当初は続けて同じ流派の空手を稽古したかったのですが、ベルギー人と結婚しており、また小さな田舎に住んでおり定期的に稽古が可能な道場を検索した結果現在の道場に在籍しております。
幸運にも当地の先生も大変な技術をお持ちであり稽古にも満足しております。
一年に数回ですが、O先生(和道流三代目、現在フランスに在住)のセミナーに参加し、現在も日々空手を楽しんでおります。

さて質問ですが、掲題の先生のコラムの中で非常に気になる練習方法がありメールをさせていただきました。


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現空研連絡事項 2011/8/30
それに触発されたというわけではありませんが、27日、28日は、徹底的に筋肉をいじめるトレーニングを行いました。
このトレーニング方法は現空研の秘密兵器でもあるのですが、一挙に別世界の身体能力を獲得すための方法です。
別世界といっても神がかり的なあやしげなものではありません。
簡単にやれるのですが、あっと言う間に筋肉を限界まで追い込むことができます。
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アイソメトリック運動か、若しくはHPでもご紹介されている懸垂かと思料しておりましたが、以下のご説明で違う訓練方法ではないかと考え始めました。

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プロキックボクサーだったNito(弟)初段が重要な試合の前に道場に稽古に来たときもその方法を教えました。
鍛えに鍛えた彼の腕でも翌日パンパンに張り、その効果を体感できたそうです。
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様々な筋トレ本を読んだりし熟考してみましたが、先生の仰られる現空研の秘密兵器なる練習法が未だに分かりません。
貴現空研の秘密兵器、秘伝の練習法の事重々承知しておりますが、ご教授頂く事は可能でしょうか?

現在自分でも机の下にダンベルを置き、昼食時間等の空き時間を見つけて日々筋トレを続けております。(同僚のベルギー人には最初驚かれましたが)
10キロから始め今では15キロを10回程度カールで持ち上げられるようになり、筋力の向上は実感しておりますが、会社では中々限界まで追い込むことができずご指導頂ければ幸甚に存じます。

追伸
未だ日本出張の予定は無いのですが、もし機会があれば是非とも道場見学させて頂きたく何卒お願い申し上げます。


現空研のホームページをご覧頂きまた丁重なメールありがとうございます。

日本でさまざまな流派の空手を学び、そして外国でご活躍されている。
そしてなお、武道の道を志されている。

メールを拝見し、その向上心の旺盛さがひしひしと伝わってまいります。
昨今暗いニュースの続く中、元気で前向きの日本人の存在は同胞として誇りに思います。

さて、ご質問の内容ですが、連絡事項では少し大げさな表現になっていますが、実際は「秘伝」などという大げさなものではありません。
運動に対しての物理学的な考察と人体の生理学的な限界や可能性を勘案して私が考えたいくつかの方法の中の一つです。

結果としてそれほど独創的なものではないのですが、単なる思い付きではなく、可能な限りのデータ収集と自らを実験台とした成果は持っています。
ここでご披露することも不可能ではないのですが、運動としては単純なことでも文章で書くとけっこう大変です。

また、現空研のトレーニング方法は、社会人が限られた時間の中でいかに効率的に鍛えるかというコンセプトの中で考え出されたものです。
それは、準備運動や基本稽古の内容にもかかわっております。

したがってその中の一部だけを取り出しても私が伝えたいと思っている基本的な原理がうまく伝わらないような気がします。
根本にあるのは「格闘で勝つ」ためのテクニックであり、それを自分に与えられた遺伝的資質の制限と社会的、環境的制限の中でいかに効率的に伸ばしていこうかという命題です。

それに対して存在しているであろう多くの解決案の中の一つにすぎないのです。

とはいえ、それほどもったいをつけるつもりはありませんので、ヒントをお出ししておきましょう。
まず、前提として人間の筋肉は早い動きや急激に方向を変える運動に対して力学的エネルギーの内部損失が幾何級数的に増えるという事実があります。

つまり抵抗値が上がるということです。工学的にいうと抵抗よりインピーダンスの概念に近い。
そのため、単純で高速な往復運動に関しては静的(スタティック)あるいは尺的(アイソメトリック)な負荷以上のダメージを筋肉に与えることができる。

これがその「秘伝」の原理です。
筋肉の強化の原理は超回復です。

回復の前には破壊(可逆的な)が必要です。
しかも筋肉は(本当は脳)は単純な運動に慣れ、記憶しています。

したがってその慣れを覆す驚き(サプライズ)を与えなければ、効率的な破壊(可逆的な)を行えません。

もうお分かりでしょう。
ご推察のようにアイソメトリック運動ではありません。

むしろその真逆の運動です。
陸上競技で100m、200mという種目はありますが300mはありませんよね。

次は400mなのです。
これはなぜなのかということもヒントとしておきます。

もし日本へ出張される機会がありましたらぜひ現空研の道場へおいで下さい。
百聞は一見にしかずです。その日を楽しみにお待ちしております。

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