ヒット カウンタ

現空研のこりない面々2

トクマンは「牛」のお友達です。
彼と会って記憶に残らない人はいません。

女性も男性もです。
印象は人によって全然違うかもしれません。

第一にすごいハンサムです。
タレントの何とかにそっくりだと言います。

何とかは私がその名前を忘れてしまいました。
キムタクじゃなかったと思うけど

そして、礼儀正しくて、明るく長身です。
彼が道場に来たとき、彼はスイミングスクールのインストラクターをやっていました。

大柄の好青年が何回か道場を見学にきていたことは知っていました。
あるとき、彼は意を決したように、「入門させて下さい」と私に言いました。

「どうぞどうぞ、準備運動でもいっしょにやってみますか」、と私。
「いいですか、じゃちょっと着替えさせて下さい」と彼。

細身の顔から想像もつかない彼の上半身を見て、私は目が点になりました。
シュワルツネッガーかと思われるような筋肉の塊です。

胸囲は120Cm上腕囲は40Cmを軽く超えているでしょう。
しかも、余計な脂肪は一切ありません。

腕はボーリングのピンのような形です。
「すごい体だね。水泳をやるとこんなになるのかねぇー」と私

「はぁー・・・・・・・・」とトクマン
柔軟体操をやっても、準備運動をやってもなんでも軽くこなしてしまいます。

後で彼から聞きました。
「水泳だけではできるわけないですよ。筋肉トレーニングです」

又割りも簡単にできてしまいます。
サンドバックを蹴らせてみると、直径30Cmのカチカチのやつが二つに折れてしまいます。

腕立てをやらせてみると、片手で何回でもヒョイヒョイとやってのけます。
とんでもないやつが入ってきました。

格闘技はまったく経験がないと言っていますが、恐ろしい潜在能力です。
コーヒーのスチール缶なんかは片手でグシャと握りつぶしてしまいます。

彼は当然白帯ですが、半年もするうちに仲間が組手を敬遠するようになってきました。
とにかくまじめなのです。

ですから、いわゆる手加減ということができないのです。
体力の無い人や初心者が相手の場合はちょっと危険な感じがしたので私は何度も注意しました。

「ここは、稽古をやる場所で勝負をやる場所じゃないぞ」
「オス、わかりましたぁー」

彼は明るく元気に答えます。
彼はぜんぜん悪気はないのです。

しかし、クソまじめなのか不器用なのか、手加減は実に下手です。
でも、彼はメキメキ強くなっていきました。

私は彼とはずいぶん組手を行いました。
彼は私のことを「岩」と言っていましたが、私も大変でした。不器用でまじめで、恐ろしくパワーがあるのですから。

トクマンは1年間事務所でアルバイトをしたことがあります。
彼は最初の日、自分から便所の掃除をしていました。

次の日はオフィスの壁を全部拭き掃除しました。
また、彼の明るく礼儀正しい態度にたずねてくる人の全てが感動します。

ひとつ困るのは女性からの電話が多くなったことです。
でも、へんな電話ではありません。

多分、これは私の想像ですが、取引先のOLなどが、彼と話しをしたいため、用もないのに電話をしてくるのだと思います。
暇なときは事務所で一緒にダンベルあげたり、腕相撲やったりしていました。

彼はあるとき、アメリカに行きたい、と言い出しました。

それもオートバイで一人旅をしたいというのです。
そして、愛車のホンダのナナハンを船で送り、自分もその船に乗って、アメリカに行きます。

彼はしばらくアメリカやメキシコをバイクで放浪して、日本に帰ってきます。
彼の記事がバイクの専門紙にも載りました。

彼は20才のなかばを超え、急に英語の先生になりたいと言い出します。
そして、彼は大学に通うために京都に行くことになりました。

しはらくして彼から手紙がきました。
「京都でボディービルの大会に出場しました。なんとか入賞はできましたが、減量やなんかで大変でした。」
とあります。

写真が同封してありました。
100キロくらいあった体重を20キロ以上減量したという体は、私にはちょっとやりすぎという感じでした。

今、彼は京都で勉学にはげんでいます。
そのはずです。

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