ヒット カウンタ

謙虚と卑屈

 
謙虚であることと、卑屈であることは違う。
ここのところを履き違えている者がたまに居る。

例えば集団の中で道化のようにふるまったり本人は善意のつもりでいるものも始末が悪い。
謙虚とは、自分の力を必要以上誇示したり自慢したりしない態度のことだ。

謙虚な態度というものは悪いことではない。
特に、空手など武道の心得がある者は、こちらの不注意な言動で知らぬ間に一般の人にプレッシャーをかけることもあるので、常に謙虚な態度を心がけることは良いことだ。

ただ謙虚も度が過ぎると慇懃無礼になることもあるので程度はわきまえる必要があるが。
一方卑屈というのはその根本がまるで違う。

最初から自分を負け犬にしてしまい、そこから発する自嘲的な言葉で精神のバランスを取ろうとする態度を卑屈と言う。
「どうせ」とか「所詮」とか「もともと」といった言葉ではじまる自嘲的な言い訳がその特徴だ。

「どうせ私のような・・・・・・には・・・・・・・・」
「所詮・・・・な者はどんなにがんばっても・・・・・・」
「もともと・・・・が違うんで・・・・・・・」

こういう言葉を発する心根を卑屈という。
卑屈な態度をとるというのは、本人が謙虚なためではない。

失敗しそうなとき、事前にこうした逃げの言葉を発することで失敗したときの安住の場所を確保するためのものだ。
「もともと、無理なものは無理であって、所詮無駄な努力はしても無駄で、どうせ失敗することはわかっていたのだ」という完璧な言い訳が構築できるのだ。

私は自分自身の弱さがいやで空手を始めた。
空手によって何がしかの強さも得たが、弱さも未だ持っている。

そして弱さも持っていることにより、多くの人が持っている人間の共通の弱さというものをより明確な形で理解できるようになった気がする。
だから、この卑屈というものを、理解できない得たいの知れないものといった観点で語るのではなく、自分の中にも常にその種が存在するものだという視点から語ることができる。

困難に直面したとき人のとる道は乱暴に言えば二つである。
立ち向かうか逃げるかである。

これは武道だけではない、人生のあらゆる局面で言えることである。
逃げる者は卑屈である。

もともと人間は弱い存在である。
困難に直面したとき、誰もが心の中の勇気の虫と卑屈の虫が戦う。

そして僅かな差で勇気の虫が勝った者は困難に立ち向かうであろうし、卑屈の虫が勝ったものは逃げる。
(何度も言うが、立ち向かうとは暴漢にがむしゃらに突っ込むことではないぞ、弱い子が泣きながらタコなぐりで強い子にむかって行くのは逃げてるのと同じだし、最終的な勝利のために一旦退却する心根は立ち向かっているのと同じだ。)

勇気ある者と卑屈な者の差は僅かなものである。
しかし、その僅かな差が最終的な態度や言動、そして行動としては大差になり人間としての価値、魅力としては真反対のものになってしまう。

君は卑屈な人間と友達になりたいか。
君は卑屈な人間と結婚したいか。

君は卑屈な上司のもとで働きたいか。
君は卑屈な人間を雇いたいか。

卑屈な人間は誰もがなりたいとは思っていないし、好まないし、社会からも要求されない。
誰もがなりたくないのになぜ人は卑屈になるのか。

人は弱いからだ。
弱さが人を卑屈にする。

強くなるということは消去方で言えば卑屈でなくなるということに等しい。
強くなるためには、まず自分の心の中から卑屈の虫を追い出すことだ。

自分の勇気ややる気や可能性を否定する言葉は死んでも発しないという心構えがまず第一。
言葉というものは不思議なもので、頭の中にあるレベルと一旦言葉として発音してしまうのではまるで違う影響力を本人や回りに与えてしまう。

言霊という言葉で説明されることもあるが、これは間違いない。
「できない」、とか「ダメダ」とか、「負ける」といった言葉はそれを頭の中で使ったり、叫ぶ分はまだ影響は少ないが、一旦声に出すと強大な負の力となる。

勇気ある者でいたいのならこういった負の言葉は一切口には出さないこと。叫ばないこと。

常に前向きの精神を持つこと。
もし力尽きて倒れることがあったなら(決して倒れてはならないが)、決して後ろには倒れず前向きに倒れること。

卑屈にならないための10か条

  1. 逃げない

  2. あきらめない

  3. 裏切らない

  4. 言い訳しない

  5. 自慢しない

  6. 卑下しない

  7. 妬まない

  8. 媚びない

  9. 恨まない

  10. 嘘をつかない

何、多すぎて覚えられない。
しかたない、試験に出やすい最重要単語としてこれだけは覚えていてほしい。

特に、現空研の諸君。
なにか、大学受験ラジオ講座の西尾孝先生(古いなーわかるかなー)みたいになったな。

1つだけなら

「逃げない」

これに尽きる。

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