はじまってしまった喧嘩は負けてはいけない

2015/08/10


人間生きていく過程ではある程度のトラブルは避けられない。
大抵のトラブルは相手も常識があればお互い様という事で暴力沙汰になる前で解決できる。

しかし世の中にはいきなり理不尽な行動に出る輩が存在する。
話し合う前に手が出る奴がいる。

それぞれ深く事情を探ればいろんなケースがあるであろう。
例えば、精神的な疾患があり感情をコントロールできない人とか。

世の良識的と言われる人たちの論はこうしたいきなり問答無用の暴力を振るう人たちの存在をないがしろにしている。
それは、世界中の人たちが全て「話せばわかる」常識人だったら話は簡単だ。

実際はどんな国、どんな時代にも常軌を逸した輩は一定数存在している。
そういった人たちにももちろん人権はあるし、病気であれば回復する可能性もある。

しかし、いきなりこういう輩と遭遇し、いきなり暴力を振るわれた場合の正しい行動はどうなのだろう。
最近でもいきなり背後から刃物で襲われたり、かなずちで殴られて重症をおわされた女子高校生のニュースを聞いた。

こういった事件は昔からある。
社会構造の問題や文化的な背景ももちろんあるだろうが、こうした環境的な問題をクリアしたとしても全てが解決されるわけ
はない。

そうであっても、今そこにある危機に対処するに何の役にも立たない。

私の個人的な体験もいくつかあるが、例えば学生時代の思い出でこんなものがある。
銭湯で頭を洗っていた時いきなり後ろから殴りかかられた。

頭と顔は石鹸で一杯だが思わず振り返って目を開くと痛くてたまらない。
ぼんやり見えるのは素っ裸で洗い桶を振りかざしている興奮した男の姿だ。(当時の洗い桶は木製で結構重い。当たると
痛い)

話し合いなんかできる状態ではない。
私が弱かったら大けがをするか殺されていたかもしない。

それからもう一つこれも20才台の頃だ。
制限速度位で走っていたら後からぴったり張り付いてくる車がある。

恐らくもっと速く走れという事だろう。
しかしこっちはポンコツの軽自動車でたまたまエンジンが壊れる直前のもので全く加速が効かないのだ。

さっさと追い抜いていけば良いのに相手は執拗に後に張り付きパッシングまで始めた。
片側一車線なので止めるわけにもいかず私は無視して目的地も近いのでそのまま進んだ。

気が狂っているとしか思えない。
私は奴に対して何もしていなのだ。ただ道路を少しゆっくり走っていただけだ。

偏執的なそいつは目的地まで付いてきた。
場所は空手道拳誠会我孫子道場。

本当に馬鹿なやつだった。

昨日道場で「些細な事で切れる奴が増えてきましたね。」という会員の話から、そうそうといって思い出した話だ。
皆で大笑いになったのだが、これはこちらにそうした状況に対処する力があったから笑い話になるのであって、そうでなけれ
ば昨今のニュースのような結果になっていたかもしれないのだ。

喧嘩も含めてこうしたトラブルは未然に防げるものは全力でそうした努力をすべきだ。
しかしどうしようもない火の粉も時にはふりかかることがある。

こうした火の粉に向かって「火の粉なんて存在するべきではない」なんて叫んでも「火の粉の存在を生む社会がまちがってい
る」なんて呟いても屁のつっぱりにもならない。
何とか処置するしかないのだ。

はじまってしまった喧嘩は負けてはいけない。
こういう喧嘩は負けると最悪死ぬこともありうる。

負けない、ということは必ずしも勝つことではない。
最悪の事態を防ぐということだ。

相手にこちらの力を理解させて引いてもらえればこれが一番。
しかし昨今の脳内ツッパリオタク系は勘がにぶい。
多少受けてやる必要もありうる。

逆に格闘技崩れや半プロのような壊れた奴もいる。
そうした輩に最悪殺されそうであれば、怪我ですませる。(双方だよ)

怪我は避けられないならばなるべく軽傷ですませる。(これも双方)
できれば双方無傷で相手を制する事ができればベスト。

なかなかこれは難しいが、私の長い空手人生では時々双方無傷という素晴らしい体験をすることがある。
空手では私の門下生であるが人生の先輩として私が尊敬していたある人の話である。

その人はまだ緑帯であったがすごく強い人だった。
私と同じ九州出身で集団就職で東京に出て、やがて若くして商売を始め成功した。

その彼が、ある女性が暴力を振るわれている所を助けた。
しかし相手はチンピラで後日彼の家に日本刀をもって押し掛けた。

彼は素手で相手に立ち向かい、指を無くす覚悟で刀を素手で掴みもぎ取る。
もぎ取った刀を相手に渡した。

体力を使い果たした相手は完敗を認め去った。不思議な事に双方とも切り傷一つ受けなかったそうだ。

その時の女性は現在の奥さんだ。
まるで昔の東映映画のような展開だが事実である。

奥さんも一緒にこの話になると笑いながらの談笑になるのだが一つ間違えば大変な悲劇になっていた話である。
これが笑い話となったのは彼が強かったからだ。

状況を解決できる力と精神力を持っていたからだ。
武道とはこうした理不尽な攻撃を最小限の損失で抑える力と精神力を追及する道だ。


 


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