第3回現空研空手道大会感想 その1

2010/05/08


平成22年4月29日の第3回現空研空手道大会は過去最多の参加人数のもと、激戦、名勝負の多くを残して終了した。

参加した全ての選手の奮闘を称え賞賛したい。

 

特に今回は年齢、体重の枠なしの無差別級エントリーが多く、最年少は10代高校生から60代まで幅が広く、体重にいたっては最軽量の45kから100k超級まで、3倍近い体重差の選手が同一条件のもとで勝敗を競いあった。

特に最年少の高校生Urano君、最軽量45kgのGoto君、最年長60歳のChikaokaさんの勇気と敢闘精神に敬服する。

体重100kを超え、20歳代の若くてパワーのある選手とフルコンタクトの戦いにチャレンジするだけでも賞賛に値するのに彼らは皆大活躍までした。

 

また重量級の有力選手としては過去2連覇し今回も優勝候補筆頭のNito(兄)2段をはじめ、Suzuki(R)2段 Kamioka2段 Kato3段などの強力な重量級選手がひしめいている。

その他、各級の優勝者や昨年度チャンピオンなどが我こそはと無差別級優勝を狙っている。

 

今回はエントリーが多いのでまず4つのブロックでトーナメントを行い、そのチャンピオン同士でトーナメントを組むという方法を取った。

最終的には第一ブロックのUchida初段、第ニブロックのSuzuki(R)2段、第三ブロックのNamekawa初段、第四ブロックのKato3段(神田錬成館) 

で争われることになった。

 

今回はまず決勝戦となったUchida初段とKato3段(神田錬成館)の対戦を見てみたい。

この二人はともに体重は100kを超え、身長も180Cmを超える大型選手である。

体格は似ているのだが、その個性はまるで違う。

 

Uchida初段は、現空研目黒道場所属であるがこの不況の中若くして事業を引き継ぐなど大変な苦労をしながら稽古に励んできた。

最近はコンスタントに稽古に来られるようになったが一時は道場になかなか来られない忙しい状況もあったようである。

しかし、持ち前の稽古熱心さと外観に似合わない謙虚さで着実に実力を上げてきた。

武器は威力のある左右回蹴と膝蹴りそれに体重を乗せたスピードのある上段突だ。

どれもが一本を取れる威力を秘める。

 

一方のKato3段は神田錬成館ではYamamoto先生がイギリス赴任の後を継いで黒帯研究会を主催する実力者だ。

伝統的な剛柔流の基本の上に変幻自在な変則技も併せ持つ技師である。

変幻自在といっても100k超級の体から繰り出される技は軽量級のだまし技とは威力が違う。

特に猫足立からのノーモーションの上段回蹴は見えない事で定評がある。

 

この対戦は形は現空研対他流派の形ではあるがKato3段はしょっちゅう出稽古に来られていて殆ど身内のような存在なので対抗戦のような感覚はない。

内容は本戦は最初から緊迫した展開となった。

 

互いの持ち味を尽くして戦ったが決定的なポイント差はなく、延長戦へ。

延長戦は互いに決着をつけるべく積極的な技の攻防となった。

 

しかし、延長戦でも明確なポイント差はない。

本来ならここで旗判定で決着をつけるのだが、主審は副審を呼んで協議、そして判断を最高審判長を務める私の判断を求めてきた。

 

今大会2本目の最高審判長判断の場となった。

私は今大会で初めての主審の裁定である再度の延長戦を認めた。

 

再延長戦はまさしく死力を尽くす激戦となり、とうとうお互いに明確な技有り以上のポイントをとることができずに旗判定となった。

副審2名白、主審も白を指示し最終決着僅差判定でUchida初段の優勝が決まった。

 

優勝が決まり、主審の互いに礼、正面に礼のあと双方が歩み寄り握手したあとUchida初段は嵐のような拍手の中深々と回りに挨拶した。

すばらしい決勝戦であった。

 

 

左 Uchida初段 右 Kato3段の上段回蹴          左 Kato3段 右 Uchida初段の上段前蹴

 

 

左 Uchida初段 右 Kato3段のスナップの効いた中段回蹴    左 Uchida初段の上段突き 右 Kato3段

 

 

 

トップページへ