平成24年 あえて日本に苦言を呈します

2012/1/1


皆様明けましておめでとうございます。
平成も24年になりました。


だんだん昭和も遠くなっていきますが、この日本が明るい未来に向かっているという実感は残念ながらありません。
というより、深い闇に向かって迷走を続けているというのが実態でしょう。


特に、日本の若者が明るい未来像を描けなくなっているのが何より残念なことです。
日本の歴史を振り返ると様々なレベルやスケールの差はありますが、国や社会がどんなに苦しくても若者に明るさを感じさせる時代は必ずその困難を乗り越えています。


特に江戸末期からは、国際的な脅威にさらされる中で何度も国家の存続を賭けるような国難が続きますが、日本人はそれを克服してきました。
それはどんなに今が貧しくてもこれからの日本を支える若者たちを育てるべく何を犠牲にしても子供たちに教育を与え、肉体的にも精神的にも鍛えて将来を託してきたからです。


今の大人たちは自由とか子供の自主性という虚飾の言葉を免罪符にしてそれを放棄しています。
大人が腐れば子供たちも腐ってしまいます。


大人も若者も子供たちも腐ってしまったらこの国に未来はありません。
こうした腐敗臭に満たされているのが今の日本の姿です。


まだ、社会には過去の遺産としての規範や道徳、文化が生き残ってはいますが、それらは年とともに衰退しています。
このままだと近い将来に突然ナダレのような崩壊を起こしていくでしょう。


現在でも多くの人が「自分の身は自分で守らなければならない」と考えるようになっています。
それも積極的な意味ではなく、受動的にそうせざるを得ないからといった追い詰められた感情からです。


例えば刑法犯の検挙率の推移を見てみますと、昭和時代は70%近くを保っていますが、平成に入るとつるべ落としのように落下を続け現在は20%前後までに低下しています。
これは暴漢に危害を加えられたら80%はやられ損になってしまうという事を意味します。


一方将来の生活にかかる年金問題を見ても、自分が働けなくなった時の保障など今や全く期待することはできません。そしてこれの世代間格差もひどいものです。
世代間格差というより、原資の不足からくるシステム崩壊の秒読み段階に入ってなおかつ根本的な改革に手をつけられないという現代日本の無能さから来ているのです。


「自分の身は自分で守る」という思想は基本的には大事なのですが、それはあくまで緊急避難的な正当防衛の範囲を言うのであって、平穏な生活や将来に対してこれを言わなければならないというのは異常です。
こうした社会は自分を守るという考えからやがて「自分さえ良ければ良い」という殺伐した風潮が蔓延していくでしょう。いや既にそうなりつつあります。


しかし社会が崩壊したら自分だけ良い生活なんて成り立つはずもありません。
現在自分たちは大丈夫と心の奥ではこっそりと自負している「ことなかれ官僚」や「お願い政治家」、「自己中老人」たち。


もしそう考えているとしたらこの日本はそんな甘い状況ではありません。
日本の国債がデフォルトしたら皆あっというまに一文無しです。


今、円高は苦しい苦しいと多くの財界人や訳知り顔の識者たちが苦しんだり苦しむふりをしていますが、これが実は天国だったと後悔する日は遠くないでしょう。
円が紙くずになり、預金も株も紙くずになります。待望の超円安の到来です。


しかしその時は、あっというまに、中国、アメリカその他の富裕な組織が有力企業の新たな株主となり、トヨタやソニーの従業員は今と同じでも株主と役員は全て入れ替わっているでしょう。
現時点でも日本株式の外人持ち高比率は25%以上なのです。つまり日本株主の1/4は外人なのです。これもバブルの時代では5%に過ぎなかったのです。


中国人が日本の土地や株を買いあさっています。(中国の立場で見れば正当な権利の実行でルール違反ではありません)
戦争を待つまでもなく日本は平和的に侵略されつつあるのです。


このままだと砂の城が突然崩れるように近い内に必ず崩壊します。

その前兆は株式相場に端的に現れています。


将来を経済的に推測する最も手っ取り早い指標は株価です。
日本経済がかつてピークに達したバブル時代、日経平均は約4万円にも達しました。(正確には最高値で38,915円)


その頃のアメリカのダウ平均が3000ドルにちょっと足りない程度。
戦後の日本経済のピークはアメリカ3000ドルに対して日本4万円。


現在はアメリカはダウ平均1万2000ドルに対し日経平均は8000円です。
単純に考えるとアメリカが4倍になったのに対し日本は1/5です。


日本は株価に関してはバブル以降対米で1/20になったのです。
良く考えて下さい。
バブル崩壊は日本だけではないのです。その後のリーマンショックやITバブルの崩壊、アジアヤヨーロッパの政変、国家のデフォルト。


これらは全てグローバル化した世界経済をショックに陥れました。
被害者は日本だけではないのです。


つまり経済は上がったり、下がったりダイナミックに変化しているのです。
日本だけが不運に見舞われているわけではありません。


そしてそれら全てを包含してアメリカは4倍、日本は1/5なのです。
ここまで経済的に情けない結果となっているのは世界の先進国では日本だけです。


こうした低迷は経済だけではありません。
子供の教育の分野でも2000年にはOECDの第一回調査でトップだった数学の成績が年を追うごとに低下を続け2007年には10位までランクを落としています。


私は毎年大学のセンター試験の問題と東大はじめ主に理系の大学の数学の入試問題をチェックしていますが私の時代のレベルと比較すると問題が易しくなっていることに驚きを隠せません。
易しい問題なら確実に解ける実務型、意地悪く言えば事なかれ主義人間偏重の傾向ともとれます。OECDの結果とも符合します。


何とか大臣が言った「一番じゃなきゃダメですか」はまさにこうした日本の腐った現状を象徴する一言です。
生物の生存は優勝劣敗という公理とも言える原理があり、これは言わずもがなの哲理です。


この大原則の中であらゆる生物は競争を強いられるわけであり、生存をかけた争いは好き嫌いの範疇ではありません。
一番に発見したり、発明した者が特許を取り、その利益を独占し二番以下は全て敗者となるのは、武力を使わない分野においても世界的なルールなのです。


天体でも生物でも最初に発見した人の名が付けられ、最初に人類にとって有意義なそれぞれの分野で功績を挙げた人はノーベル賞やその他の賞賛を享受できるのです。
一番をめざすのは当たり前です。


「一番を目指す」という目標は全ての分野において不可欠であるということを議論する事自体ばかばかしい。
逆に言えばこういうレベルで議論になること自体が国が腐ってきた証拠です。


このように現在の日本は正に崩壊寸前の砂の城。
ではこれから日本はどうすれば良いのか。


長期的には日本人の本来持っている祖先からの一貫性と自分達の文化を大切にし、それを毀損しようとする者に対しては毅然とした態度を取るという事。
経済でも軍事でも世界との調和を考えながら自らの正当な生存、存続、そして発展を主張し、対外的な共存姿勢や思想、それを担保できる実行力の獲得、養成、保持をしっかりと行い、同時に世界にアピールしていく事。


これが共存共栄の大原則です。
一言で言えば自分たちの文化を守るとともに他の国や社会の文化も尊重するという事です。


しかし、現在はもっと切迫した状況になっています。
こんな原理原則で悠長な事を言っていては間に合いません。


短期的には多少原理原則からはずれても緊急避難的に許される処置を取らざるを得ない場合もあります。
日本は国として短期的にやらなければならない事は山積しています。


一部を提言してみましょう。
まずは経済問題です。


日本が独立した国としての日本であり続けるには、ギリシャのようになっては手遅れです。
ギリシャには酷な言い方ですが、これからはユーロ勢力の植民地的な生き方しかできないでしょう。


やがて国家組織は崩壊し何らかの形で革命か大出血を伴う社会の再構築が起こります。その後は国民がどれだけがんばれるかにかかってきますが個人レベルではかなり貧しい生活を長期間しいられるでしょう。
それでもギリシャは日本がデフォルトを起こす場合よりはるかにましです。


ギリシャはこう言っては失礼ですが、M&Aまでして奪い取ろうと思うような企業は日本よりはるかに少ないですし、地政学的見地からも古代ならいざ知らず現在は日本ほどクリティカルではありません。
日本の場合は円、株、国債が暴落した場合、これらをバーゲン価格で取得したいあるいは奪取したい国は目の前の大国をはじめゴロゴロいます。

 

本来はもっと価値があるノウハウや人的資産、その他の資本が原価を割る値札(株価)で叩き売られている。
国にも国民にも、それを身をもって守ろうという意思も実行力もない。


敗戦国の劣等感と押し付けられた罪悪感というマインドコントロールが解けていない今が他の国からすれば日本奪取の最高のチャンスなのです。
まず、この現状を日本人は自覚しなければなりません。


国内問題は国際問題と直結しています。
このままだと日本は内部から腐り、外部から蹂躙されるでしょう。


戦争で敗北するのと違って、外見的にはあまり変化はないかもしれません。
表面的には社会の二極化という現象となって現れてきます。


多くの有力企業では株主や経営者は外国人が増え、日本人は彼らの下で働かされるという構造が一般化します。
現在でも、一流企業に就職したのにいつの間にか社長や役員が中国人やその他の外人になってびっくりしている人は少なくありません。


日本を代表する新日鉄やトヨタでも既に10位以内の大株主に中国ファンドがいます。
しかもこれは氷山の一角です。大手建設会社、大手商社、大手化学薬品会社、大手製薬会社その他調べると驚愕の事実がわかります。


興味のある方はオーストラリアという国を調べてみて下さい。
中国資本による侵略と言っても過言ではない状況が良くわかります。


これは明日の日本の姿を暗示しています。
今の日本は、就職難や年金問題といった内輪の話ではすまない状況の一歩手前まで追い詰められているのです。


まずここをしっかりと自覚した上で、さてどうするべきかと考える必要があるのです。
では私が10年以上前からこのホームページでも主張しているデフレの克服から説明します。


短期的に日本を守るためにはまず、デフレを克服することです。
一番簡単で実効力のある方法はお札を刷ることです。


しかし日本は様々な手かせ足かせがあってなかなかこれができません。
まず大きな癌は「日銀の独自性」という関所です。


日銀の独自性は理論的には必要なものですが、少なくともバブル前後からの行動を見る限り万死に値する無能さを呈しています。
まあそれに対しての理論武装、断固として対処ができなかった政府も馬鹿ですが。


いろいろ関所があり、屁理屈をこねる学者もいますが、現在のデフレを短期で克服するには円を刷るしか手はありません。(短期克服しないと大変な状況なのです)
デフレを自国通貨の大増刷で見事克服したスイスの例は参考になります。


ただ円を増刷することは世界に喧嘩を売ることにもなりますから、まずこれから対策すべきでしょう。
現在の世界はかつての戦勝国が自国の通貨を好きなだけ刷ることで利益を享受し続けています。


もちろん各国の利害関係の調整しながらですが基本的には連合国同士の利益配分です。
特にアメリカと中国は露骨です。現在は彼ら同士の駆け引きの真っ最中です。


こうした中で円の増刷を強行するとかなりきな臭い雰囲気となるでしょう。
だから目立たないようにしたたかにやるべきです。


単独の為替介入も摩擦を生みますがこれももっと頻繁にもっと粘り強くやるべきです。
世界に上手に正当性をアピールしながらしたたかにやらなければなりません。


国内の銀行に返すあてもない国債を引き受けさせるより為替介入は國際通貨のドルを安く入手できるわけですからはるかにましです。
内輪で毒をたらいまわしするより、世界に広く薄めてばらまきましょう。


内輪ではこの毒は致死量になりますが世界にばらまいて薄めれば、かえって世界の健康増進に寄与するくらいの刺激でしかありませんから。
日本マスコミも自社の売り上げや視聴率だけでなく国益の観点を持ってもらいたいところです。

やがては自分の利益につながるわけですから。

 

しかし大東亜戦争の時でも日本のマスコミは国益より売り上げ重視だった体質が現在改善しているとは思えませんが、内部には忸怩たる思いをしているサムライはきっといるはずです。
小学生レベルの正義感でしたり顔をするのは本当に止めてほしいものです。


デフレ対策の次にやるべきは株価対策です。
日本の株がいかに安いかの説明をいたしましょう。


PBRという指標があります。株価純資産倍率と言います。
それはその会社が発行している株式の現在価格の総和とその会社の全資産との比率のことです。


ある会社の発行株式の総和が一億円だったとします。つまり一億円出せばその会社の全株式を取得できると言うことです。(あくまで原理です)
一方のその会社の土地や建物その他の資産を全部売っぱらってお金に変えたとします。


それが一億だったらPBRは1ということになります。二億で売れればPBRは2ということです。
つまりあなたがアラブの王様くらい金持だったらPBR1以下の会社の全株を買い取って片っ端から売っぱらえば簡単に金儲けできるという理屈になります。


直ぐには売らなくても、儲けの出ている会社だとそのまま乗っ取っても良いし、あまり利益が出ないなと思えば売れば良いわけです。
とは言え、PBR1以下の会社なんてそうはざらにありません。

 

だって株式を公開している会社でPBR1以下なんて、これ見よがしに宝石やブランド品をテレビにさらしておいて「私の家は鍵をかけてませんよー」と宣言するバカのようなものですから。
とあなたは思うでしょう。


そうなのです。ただし正常な国(社会)は。
今の日本は違います。


なにせ、アメリカ4倍、日本は1/5、こんな株価の国に成り下がっていますから。
日本の超優良企業であるトヨタでPBRはどれくらいだと思いますか? 10?いや20? とんでもない。なんと0.8ですよ、0.8。


トヨタの株を買い占めて叩き売れば二割も儲けられるのです。
こんなバーゲンセールどこにありますか。


トヨタだけではありません。
経営の神様松下幸之助氏創業のバナソニックがやはり0.82。


富士通、日立でやっと1.3 三菱商事0.81、三井物産0.97
かつてはゼロ戦を作り、現在の防衛企業のトップ三菱重工が0.6


あの東京電力は0.3です。
そして殆どの大手銀行も軒並み1以下です。


これは実質価値を下回る即決価格をつけてヤフーオークションに出しているようなものです。
盗品でも偽ブランドでもない正真正銘の優良物件をです。


これは、日本企業を乗っ取ってくれ、日本を植民地化してくれと世界に頼んでいるようなものです。
PBRの全世界平均は1.7に対し、日本企業の全平均は1.0 これは世界最低水準です。
ちなみにギリシャは0.4 終わっています。


株価対策はいくらでもありますし、考えることもできます。
それをやらないのは、資本主義の原理をわかってない政治家と理屈はわかっていても愛国心のなくなった官僚たちや自分達さえ良ければ良しとする財界人たちのせいです。


かつての幕末の志士や明治の政治家、官僚たちが命をかけて守ろうとした日本はどこへ行ったのでしょう。
日本で今必要な株価対策はいつ紙切れになるかわからない預金や国債を抱え持つ日本人が日本株を買うことにメリットを見出せる方策をどんどん打ち出していくことです。


キャピタルゲインにかける課税の制度を見直すだけでもずいぶん違うでしょうし、やろうと思えばいくらでも手はあります。
余った電力を捨てながら節電節電とわめく暇があったらこうした工夫をなぜしないのか全く不思議な国です。


将来が不安なため一切金を使わなくなった熟年世代が大量の円を死んだ資産として抱えています。
節約は個人レベルでは有効な経済対策ですが、国家が音頭を取るようなものではありません。


金や力を持った老人がやる気があって前向きな若者を教育したり援助したり投資をするというのが健全な資本主義国家の世代間関係の雛形です。
金や力や知識は使うためにあるのであってそれをただ溜め込んでいるだけでは死財です。

金があるやつは金を出す。力があるやつは力を出す。知恵があるやつは知恵を出す。

 

何を守り、何を捨てるべきか。
広い心で決断しなければなりません。


媚を売ることで難を避けるのではなく、正当性を主張すべき場面では多少のトラブルは受け入れて対決する姿勢をもたなければ国は滅びるでしょう。


個人が強くならなければ社会は強くなれません。
社会が強くならなければ国は強くなれません。
国が強くなければ国民を守ることはできません。


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